闘牛と鵜飼


│闘牛と鵜飼│ぐるめ神社仏閣と町並み海の道宇和島&大洲の旅TOP

 
あんたたち,みんな間違っとる!(闘牛編)

 学生に「宇和島の闘牛に行く」と言ったら「先生が闘うんですか?」と訊いてくるし,いい大人には「負けた牛は食べられちゃうんですか?」とか「やっぱり赤い布とか使うんですか?」とか訊かれるし・・・。
 

 日本の闘牛ってのはなあ,牛と牛との相撲なんだよ。1トン前後の牛が激突し,咆哮し,踏ん張った蹄が土を蹴上げ,押し合いの果てに土俵代わりの柵にぶつかって柵がぶっ壊れる。駆け出しの牛は相手の前足を角で持ち上げてみたり,横綱の牛は角で相手を捻りながら押す・・・。力だけでなく,牛どうしの駆け引きもなかなか見ごたえがあるんだ。技の種類もいろいろある(闘牛.comのページをみよ)。
 

 押し合いが続けば牛の息が上がってくるのも見えるし,「ゴツン」と響くような頭蓋骨どうしのぶつかりあいの後には,牛が両方とも軽い脳震盪を起こして立ちすくんでしまうようなこともある。角と角の突合せで角が朱に染まっていくこともある。

 弱い牛はすぐ諦めてしまうが,横綱クラスでは痛みに耐えて逆転するということも珍しくない。

 勢い余ってバランスを崩してしまうと,その隙に横からまわりこんで角で追い立てると,相手は戦意を失って逃げ出すことが多い。
 

 左側の牛は逃げ出しちゃったわけだ。勢子たちは次の準備をしなければならない。

 中には全く戦意のない牛もいた。土俵に入るのを嫌がり,なんとか戦いを始めたものの,すぐに後ろを向いて逃げ出す・・・。暑さが続いたため,体調不良で戦意を失ってしまったものもあるとか。しかし,これが2回目になると怒って怒鳴り始めた客もいた・・・。

 驚いたのは,「勝負あり!」と司会がマイクで叫んだとたん,勝った牛は追うのをぴたりと止めること。賢い!!
 

 勝ったらそれで終わり,というわけにはいかない。勝った牛は興奮していて,もっと闘いたいような素振りをみせる。1トン前後の牛を勢子たち全員で宥めてもなかなかうまくいかない。そういうときには,牛の綱をいったん柵に引っ掛けて時間稼ぎをするのだけれど,綱と柵との間に勢子の指が巻き込まれて大怪我をしかねない危険なシーンも続く。

 土俵を取り囲む柵の内側は竹製だ。牛がぶつかった勢いで折れ,ところどころ補修してある。だからといってすべてを鉄製にはできないであろう。堅い柵にぶつかると牛が怪我してしまうことになるから。

 場内にはたくさんの勢子がいるが,一度に牛に接触できるのは各牛につき一人だけ。戦いが膠着してくると,勢子が交替して牛の背中を叩いたり,掛け声で喝を入れたり,背中に塩をまいてみたり,などして牛の戦意を促す。

 土俵入りした牛が土のにおいを嗅いでいるようだったので,「闘う牛は肉食動物のように相手の臭いを気にするのか?」と思っていたら,どうも勢子たちが撒いた塩をさかんに舐めていただけのようだ。しかし,だからといって,なぜ戦いの最中に塩を背中に撒くのかはよくわからない。相手の牛が背中の塩に気をとられるように・・・というネライなのか?

 横綱の土俵入り。呼び出しは司会席のマイクで行われ,相撲にも似た独特の調子で牛の紹介が行われる。それぞれの得意技も紹介される。

(横綱も塩を舐める)

 

あんたたち,みんな間違っとる!(鵜飼(うかい)編)

 鵜飼見物の屋形船が出港したのは7時より前。随分と明るい時間の出港だ。

(愚問1)「鵜が捕まえた魚は焼いて食べさせてくれないの?」
  (答え)「鵜のえさになります」

(愚問2)「最近の鵜は甘やかされているんじゃないの?」
 

 鵜飼ショーでは鵜匠の腕にもよるけれど,1回・1羽あたり1匹も捕れないということも珍しくないようだ。これでは捕った魚を客に出すどころか,後で鵜に餌をやらねばならないことになってしまう。

場所は伊予大洲にある肱川。

 見物用の屋形船が出港したのは7時より前。明るい時間から多くの船が出港する。

 「沈下橋」や臥龍山荘を眺めたりと,それなりに見所はある。何より,護岸工事のしていない川を行くのはいい。
 

 宿泊した旅館の仕出弁当。

 船に乗ってからは食事と流域の景色の見物が中心。船の一番奥に座ってしまったものだから,ケースのビールやジュースを他のお客さんに回すのは私たちの仕事に(個人客だったのに,まるで宴会の幹事さん)。

鵜匠の乗る船は篝火(かがりび)を焚いて準備中。船の中には鵜の入った籠が。

 海の魚は灯りに寄ってくるが,川の魚は灯りを避けて行動するという。満月の夜は鵜飼に向かない。鵜飼は篝火で魚を混乱させ追い立て,それを鵜が捕まえるという漁法だ。

 いよいよ鵜飼見物。客数によっても異なるが,篝火でひときわ明るい鵜匠の船と,それを取り巻く5隻の屋形船で1団を組んで見物するのが大洲の鵜飼ショー。これは別の1団がやってきたのを遠くから観たもの。

 鵜匠のこずえさん(大洲で唯1人の女性鵜匠)が操る鵜は5羽。鵜にはそれぞれ名前がついている。こうして水上を泳いでいると,客から「休んどらんでさっさと潜れえ!!」と激励の言葉(容赦ない罵声)が。

(左)潜った鵜を覗き込むこずえさん。篝火だけでなく,強力なライトでも魚を追い立てるのが現代的。

 漁が終わると鵜は岸で餌をもらい,その後は自分から籠に入っていくのだ。

 屋形船で航行中,川岸にはこんな風景が現れるが,これは国道や高速道路の街灯ではない。 

 実は,大洲城の塀が鵜飼の行われる川沿いに移設され,それがライトアップされているのだ。近景はこんな感じ。

 なお,1時間半くらいの船旅のうち,鵜飼ショーはわずかに10分程度。決して過大な期待を持ってはいけない。

 魚がうまく捕まえられるよう,3組ある鵜飼ショーの船団は川のコース取りを工夫している。同じコースをたどらず,またエンジンを切って静かに進む。しかし,観光船の中にはショーが終わったとたんにエンジンをかけ,他の船団に迷惑をかけるけしからぬ輩も。

【日本三大鵜飼】
 こういう概念は,トップブランドでは決して持ち出さない。鵜飼の名所といえば,岐阜県の長良川なのだろうが,長良川の人々は「三大鵜飼」という言葉はおそらく使わないだろう。どうも大洲の人々だけが「三大鵜飼」という言葉を使っている??
 

・長良川の鵜飼(岐阜市観光案内より
  ・同・愛知万博(愛・地球博)への参加
  ・同・別の個人による紹介

・日田の鵜飼については情報があまりない??

・犬山市による「全国鵜飼MAP
 

│闘牛と鵜飼│ぐるめ神社仏閣と町並み海の道宇和島&大洲の旅TOP