1.別府 | |
大分県はフグの名産地です。季節外れの感もありますが,夏にも美味なフグが食べられるのです。ここでは肝や卵巣など,有毒で知られる部位を食べるのも特徴です。多くの県ではこれらの部位を食用とするのは条例で禁止されているといいます。もちろん,さまざまな工程を経て無毒化されているからこそ食べられるわけです。肝和えは絶品ですし,肝を醤油に溶いて食べるふぐ刺はこの世の幸せといわずして何というべきでしょう。ここのフグを食べたら,よそのは食べられません。 | 【お店】「ふぐ松」(別府ナビの紹介ページ) 「2人で1人用のコースを頼むこともできますよ」という良心的対応をしてくれます。ただ,肝や白子などの珍味を注文するとそれなりに料金は高くなってしまうので,クレジットカードが使えないのは痛いな。 フグというのは,初めて食べたときに感動するというよりも,何度も食べて感動が深まってくるような気がします。肝や卵巣を安全に食べられるようになるまで,いったい何人の犠牲者が出たのか・・・。それを想像するだけでも,先人たちに頭が下がります。 |
2.宇和島 |
愛媛県は鯛料理の多い地域です。鯛といえば瀬戸内海という気もするのですが,瀬戸内海に面していない宇和島でも「鯛そうめん」などが名物のようです(今回は食べ損ないました)。湾の外には宇和海や外海に近い豊後水道が開けています。 | このため,黒潮の分流に乗って南方系の魚もやってくるようで,魚の種類はとても豊富です。宇和島で海の幸を味わないという手はありません。この地域の魚の種類や漁場については昭和水産のページに詳しい情報があります。 |
写真は「亀の手(カメノテ)」。節足動物 甲殻網 フジツボ目 ミョウガカイ科。とても珍味。和歌山県東部などでも普通に食べるらしく,人気の食材だそうです。色の濃い部分の中に身が入っていますが,食べるのは少々面倒。軽率に噛み付くと,中に入っている水分を周りに撒き散らしてしまう粗相を仕出かすハメに。
今回行ったお店は「ほづみ亭」(宇和島商工会議所ページのリンク)。海の幸のメニューはとても豊富で,しかも安い!! 突き出しはカウンターに並んでいる皿から選びます。亀の手もここにありました。 |
他に特筆すべきは「みしまじょろ」の唐揚げ。注文をとりに来たベテランの女性が「私は初めてみた」というので,当地でも珍しい部類に入るのでしょうが,後で調べても「みしまじょろ」という魚はネットでもヒットしません。やっとわかったのは,「みしまおこぜ」という魚がいるということ,そして由来は「三島(静岡県)の女郎」から来ているらしいことがわかりました(情報出所: オーシャンフーズ社の「みしまおこぜ」)。 | 「みしまじょろ」のあまりのプリプリの食感には驚きと感動を隠せなかったのですが,隣の親子連れはこの魚を煮付けで食べており,これまた非常に感動しておりました。 ところが,先ほどの情報源によれば,三島や伊東ではこの魚は全く不人気で誰も興味を示さないのだとか。日本の東西で味覚がこれほど違うことに驚きますが,もったいないなあという気分にもなります。 |
3.臼杵 |
臼杵に来たのは2回目(前は1991年)。このとき食べる機会がなく悔しい思いをしたのが「黄飯(おうはん)」。臼杵の武家屋敷では,打身の治療薬としてくちなしの葉を利用していたそうですが,慶事のときにはくちなしの実を炊き込んだご飯を食べるようになったそうで,それが黄飯になったのだそうです。くちなしの実は,単なる色付けのみ。味にはほとんど影響はないようです。黄飯の真ん中に持ってあるのは「鯛みそ」。これはなかなか美味です。おにぎりの具に入れたい。味噌汁のほか,卵黄の味噌漬,泡天がついています。漬物もなんだか個性的でしたが中味は不明。膳の外にあるのは「かやく」とよばれ,大根や人参・ゴボウ・豆腐などを炒め煮したものです。全体として体に優しい食事に感じましたね。 | 昼食にこの黄飯を食べようと,人気店「やを傳」(公式ページ)を目指したのですが,お盆の時期ということもあり満席で入れませんでした。タクシーに無線で本部に訊いてもらい,たどりついたのは小手川商店(フンドーキンによる紹介ページ)。小手川商店こそ,みそ・しょうゆメーカーのフンドーキン(公式ページ)の旧本店に当たります。また小手川家は「秀吉と利休」などで知られる作家野上弥生子の生家でもあり,隣は「野上弥生子文学記念館」になっています。 (臼杵市・フンドーキン醤油) |
仏教の名所らしく,臼杵石仏の下では蓮(ハス)が栽培されています(写真=下)。入口にあるレストラン(石仏観光センターうさみ茶屋)では,夏にはハスを用いたコース料理が出されています。今回は時間がなかったので,ハスのアイスクリームとケーキだけをいただきました。 |